ここで紹介する事は、入門に比べ多少込み入った話になってしまうが、
重要な概念であるため知っていてもマイナスにはならない事柄である。
ただし、持論も交えての解説となるため極論になる部分もあり、
そのことを予めご容赦願いたい。
二元論とは、光と闇、正と死、神と悪魔など正面から対立する二つの存在を、対あるいは組として考える理論であるが、
時代、地域、宗教などの見解により全く正反対の性質を有することが往々にしてある。
例をあげるなら、ゾロアスター教の二元論では、アフラ・マズダーは光を、アンリ・マンユは闇の性質を有しているが、
それがインドに移ると、アフラ・マズダーはアスラとして悪魔的な性格を帯び、ゾロアスターではアンリ・マンユの
配下的存在でデーモンの語源とされるデーヴァはデーヴァ神族としての地位を確立している。
また、今世紀最大のオカルティストと言われるシュタイナーは、興味深い二元論を発表している。
彼は、人間に物質世界とそれに基づく肉体的欲望のみが重要であるとの”嘘”を広め、地上に縛り付けようとする闇の存在アフリマンと、
人間に精神的、文化的な欲求を生じさせて、大地から離れた完全に霊的な存在へと昇華させようとする光の存在ルシファーの対立基づく二元論を展開した。
言うまでもなく、アフリマンとはゾロアスターにおける闇と嘘の王アンリ・マンユのことであり、ルシファーは太陽神アフラ・マズダーに対応している。
ここからは私の持論になるが、シュタイナーの二元論と非常によく似た関係にある二つの存在がある。
ユダヤ・キリスト教における創造主唯一神と光の堕天使ルシファーとの関係である。
唯一神は、人に悪が芽生えることを嫌い、人に知識を与えようとはせず自らの教えの下で庇護しようとする。
一方ルシファーは、有名なイブ(エヴァ)の誘惑に見られるように人に知恵を与え、神の下を去らせようとする。
言い方を変えれば、自らの教えに縛り付けようとする唯一神と、そこからの解放を促するルシファーとなり、
これはシュタイナーの二元論におけるアフリマンとルシファーの関係に他ならない。
ゾロアスター教とユダヤ・キリスト教の間には様々な類似点があることからも、キリスト教が教えを広める過程で、
ゾロアスターの太陽神を悪魔として貶めて取り入れたものがルシファーとなった、あるいはその原型となったのではと推論を発展させることが出来る。
カバル(カバラ)及びグノーシス、特にユダヤ・キリスト教の異端ともされるグノーシスにおいて用いられる概念で、
劣等の創造神のことを指し、より直接的にデミウルゴッドと呼ばれることもある。
簡単に言ってしまえば、創造神さえもその更に上位の存在により創造された、という考え方である。
この考え方によれば、神さえも人間と同じ被創造物であり、その点で同質の存在であると言えることになり、
教義の根底を覆しかねない危険な思想とみなされてもしかたがないと言える。
デミウルゴス=劣等の創造神の更に上位の存在は、一般にグレート・マザー(太母)と呼ばれる階級に属し、
中でも智慧を意味するソフィアという名で呼ばれるグレート・マザーが知られている。
ここからは持論になってしまうが、”階級”という言葉を
使ったことには訳がある。
一般的には最上位の存在とされている創造神でさえ、その上位の存在に創造されたという説があるのである。
同様に、グレート・マザーも更に上位の存在の被創造物であるという説も当然に成り立つであろう。
で、あるならばグレート・マザーもデミウルゴス同様であると言うことが出来、
デミウルゴスの1つ上の階級の被創造物と考えても良いのではないかということである。
些か極論に走り過ぎてしまったが、ここではデミウルゴス=劣等の創造神という概念だけを知っていただければ結構である。